2010年01月23日

警察庁 死因究明研を設置 鳥取、埼玉、相撲部屋リンチ…初動強化で事件闇に葬るな(産経新聞)

 警察庁は21日、外部有識者などで構成する「死因究明制度のあり方に関する研究会」を設置した。殺人など犯罪による死が見過ごされ、真実が闇に葬り去られることを防ぐための包括的な制度の構築がねらいで、29日に同庁で初会議を開催。刑事法制や法医学の観点から他省庁の領域に踏み込んだテーマも含めて議論を進め、1年以内に死因究明の精度向上に有効な方策について提言をまとめる方針だ。

 埼玉、鳥取両県で昨年相次いで発覚した連続不審死事件など、犯罪死が初動捜査段階で見逃されたケースが近年、目立ってきている。平成19年、大相撲の時津風部屋で力士が暴行を受けて死亡した事件では、遺体検案の“プロ”である警察本部の検視官が現場に出向かず、初動段階で刑事事件として捜査していなかったことが問題視された。

 こうした現状について警察庁では、検視官や行政・司法解剖を執刀する法医学者の不足などが背景にあるとして検視官を増員、現場に積極的に出ることを指導してきたほか、遺体の薬物摂取状況を鑑定する検査キットを警察署に配備するなどの対策を取ってきた。

 また、死因特定が困難な遺体を医療機関でCTスキャン(コンピューター断層撮影装置)にかけ、画像分析で犯罪性の有無を見極める「死亡時画像診断」も導入。厚生労働省や文部科学省に法医学者の養成環境を整えるよう求めてもいる。

 しかし、平成20年に全国の警察が取り扱った変死体の数は16万1838体と10年前の約1・5倍に増加した一方、行政を含む解剖遺体総数は1万5716体と全体の約9・7%にとどまっており、「高齢化によって警察が取り扱う死体の数は増加傾向にあり、犯罪死がその中に埋没して見逃される懸念が高い現状に変わりはない」(司法関係者)。

 研究会ではこうした国内の現状のほか、検視局制度がある米国など海外のさまざまな制度についても調査、研究する方針だ。

 警察庁は「提言を大胆に取り入れ、他官庁にも協力を求めて重大犯罪を見逃さないシステムの構築を進めていく」(幹部)としている。

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犯行手口は漫画『クロサギ』から?ティファニー強盗の正体とは(産経新聞)

 「妹にプレゼントする指輪がほしい」。宝石を買うふりをして、品物を盗み出す強盗事件が、昨年末から立て続けに発生した。現場は約9800キロ離れた東京と台湾の台北。「見ず知らずの女性に声をかけ店に入る」「贈り物を選ぶふりをして盗む」など共通点が多く、現地警察は「同一犯」との見方を示している。手口の“元ネタ”は、人気漫画『クロサギ』との指摘も浮上。大胆な宝石強盗の正体は−。

■「私は日本人」…でも「大阪ってどこ?」

 台北市中心部にそびえる超高層ビル「台北101」。高さは509メートルで世界第2位。1〜5階はショッピングセンターになっていて、アジア諸国からの観光客も大挙して押し寄せる。

 そんな台湾屈指の観光名所で事件は起きた。

 比較的人込みの少ない今月12日午後。たどたどしい英語で、台湾人の女子大学生(23)に声を掛ける1人の男がいた。年齢は40〜50歳ぐらい。「わたしは日本人。妹が結婚するので指輪を買いたい。店で通訳を頼みたい」

 もちろん「台北101」には当然日本人も多く訪れている。女子大学生は、不信感も持たず承諾した。2人はまず4階の喫茶店に移動し、コーヒーを飲んで40分ほど雑談した。会話の中で女子大生は「東京?大阪?」と出身地を聞いたが、男は「大阪」を全く知らない様子で、話を流した。

 その後、2人は男性に導かれ、2階にある高級宝石店「De Beers」に向かった。

 男は、店員に指輪をいくつか出すよう求め、自分の指にはめ、品定めをした。しばらくながめた後、店員に「ほかのもみたい」と依頼。一瞬、店員の注意がそれたすきに逃走した。指には当然、指輪をつけたままだ。

 置き去りにされた女子大生は呆然(ぼうぜん)とするしかなかった。

■遺留品に「チンタオビール」、英語は韓国語なまり?

 現地の報道などを総合した台北市での犯行の様子だ。盗まれた指輪は2個で、被害額は1235万台湾ドル(約3500万円)に上る。

 防犯カメラの画像を分析すると、逃げたのはアジア系の外国人で、年齢は40〜50歳ぐらい。身長は170〜180センチとみられている。

 台湾紙・中国時報のインターネット版「中時電子報」によると、男は現場にかばんを残していて、中には開封していない簡易歯ブラシや靴下といった日用品のほか、中国のビールである「青島(チンタオ)ビール」が入っていたという。

 台湾紙・自由時報(電子版)は、男について「現場から、犯人のはっきりとした指紋も採取された」「おそらく中国籍」と報道。しかし地元テレビ局・TVBS(電子版)は「韓国語なまりの英語だった」としていて、一致しない。

 警察当局は、歯ブラシが台北市内の宿泊施設で提供されたものだとみて、宿泊者名簿などを調べている。防犯カメラの画像をもとに、似た男が出入国した形跡がないか目を光らせている。

■「指輪を買いたい」「犯行前にお茶」…手口酷似

 台湾の警察当局が着目したのは「台北101」の事件が、東京・新宿で年の瀬に起きた強盗事件ときわめて似ていることだ。

 新宿の事件は、12月31日午後6時ごろ、東京都新宿区新宿のデパート「新宿三越アルコット」1階にある高級ブランドショップ「ティファニー」で発生。客を装った男が指輪4点(1500万円相当)を盗み、逃走した。店員が追いかけたところ、男は突然振り向きざまにエアガンのようなものを向けたが、弾は発射されず、けが人はいなかった。

 一連の手口はきわめて「台北事件」に似ている。

 警視庁幹部によると、男は犯行数時間前、歩いていた港区内のウェイトレスの女性(26)に英語で声を掛け、「母親と妹に指輪を買いたい。売っているところを案内してほしい」と頼んだ。女性を安心させるためか、宝石店を訪れる前に男は、近くの飲食店で女性にアイスコーヒーをごちそうしている。

 女性は韓国語が堪能で、男の英語のイントネーションから「韓国人だ」と直感したという。だが、女性が韓国語で語りかけると男は英語で「自分は中国人。北京から観光で来た。10日間ぐらい滞在しており、もう帰国する」と答え、“中国から来た”ことを強調したという。

 2人は午後5時20分ごろ、ティファニーに入店。応接セットのイスに女性と座り、品定めを始めた。約40分が経過した午後6時ごろ、男は「高いものを見せてほしい」と切り出し、指輪4点(計約1500万円相当)を両手の指にはめた。そして、店員が別の指輪を片づけようと目を離したすきに逃走した。

 手口がそっくりなほか、防犯カメラに写った男の容姿も、「台北事件」と、ほぼ一致する。台湾の地元報道によると、台北市の警察当局は「犯人は同一人物」と断定。日本の警視庁と連絡を取り合っているという。

■“元ネタ”は漫画?

 宝石を試着したまま白昼堂々逃走するという手口は特徴的だが、一部台湾メディアは“参考文献”があるのではないかと指摘する。

 地元テレビ・民間全民電視公司(民視)やTVBSは、日本の人気漫画『クロサギ』との類似点について報道した。『クロサギ』は、悪事を働く詐欺師をさらにだます詐欺師を描いたストーリーで、台湾でも『詐欺獵人』の題名で出版。高い人気を得ている。

 地元報道によると、“元ネタ”は単行本第5巻に収録されている「宝石詐欺」という一編。男が高級宝石店前で見知らぬ女性に「娘の誕生日に内緒で指輪を買ってあげたい」「一緒に選んでほしい」と声を掛けて誘い、指輪を選んでいるすきに盗んで逃走するという内容で、一連の事件と類似している。

 TVBSは「犯行に利用されるとは、恐らく作者は初めは想像しなかったのではないか」と記事を結んでいる。

■「日本はセキュリティーの甘い国」

 ただ、台湾メディアの盛り上がりとは裏腹に警視庁は冷静だ。まだ台湾の警察当局から捜査資料を受けておらず、同一犯かどうかは断定していないという。「台湾の画像が届いていないし、何とも判断できない」(警視庁幹部)

 都内では、外国人とみられる犯行グループが貴金属を狙う事件が相次いだ。東京・銀座の貴金属店「天賞堂」では2日、壁に穴が開けられ、高級腕時計約200点(2億4500万円相当)が盗まれた。犯人は隣接するビルの壁に圧力をかけて壁を破壊し、内部に侵入していた。この事件では、盗品を所持していた香港人の男らが、香港の刑事当局に拘束されている。

 捜査関係者は「景気が後退しているとはいえ、犯罪組織にとって、日本はまだ『裕福』で『セキュリティーの甘い国』という印象が強い」と断言。「外国人を助けたいという親切心もあって、宝石店に着いていってしまうのだろうが、用心に用心を重ねる必要がある」と注意を呼びかけている。

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